「キーエンスはブラック企業だったのか?」元キーエンス社員の話(4)

自己紹介

昨日まで3回、キーエンス時代のお話をさせていただきました。謎の多い会社、元社員の回顧が表に出ていない会社です。興味を持たれている方も多いみたいで(笑)。

「私が就活でキーエンスを選んだ理由」元キーエンス社員の話(1)

「キーエンスの強み☆合理性と問題意識」元キーエンス社員の話(2)

「営業は新規を狙ってナンボなのか?」元キーエンス社員の話(3)

上記全体を通してお読みいただき、ちょっとした違和感を感じた方、ないでしょうか。実は業務中の写真がないのです。営業所内や同僚と撮った写真。私、スーツ姿の写真、サラリーマン時代の写真が1枚もありません!

スマートフォンやカメラ付携帯電話のなかった時代ですから、当然と言えば当然なのですが、そもそも会社にカメラを持ってくる、写ルンですとかで集合写真を撮影するなんてことも全くなかった会社だったんだなぁと今になって実感しています。

 

若い方は「写ルンです」と言われてもひょっとして知らない??

 

おはようございます!普段は民宿の経営者兼看板親父♪
コムサポートオフィス副代表のガク(@kasumi_kadoya)です!

そうなんです。とにかく公私の区別がはっきりした会社でした。会社にカメラという私物を持って来れる空気感もないぐらいに。


まだパソコンもなく、
「オフィスイコール電話営業」の時代

8時の出社から17時まではお客様ファースト。お客様との接触面積を高める時間。客先へ訪問するか、電話をかけるか。会議やミーティング、資料作成はPM5時以降に行うこと。なので、定時に帰るというのはあり得ません。月の中間会議や月締め会議は19時とか19時半スタートが当たり前でしたし、外出報告も常に19時以降に上司と行っていました。平均退社時間はほぼ毎日21時前後だったと思います。

それだけをみればブラック企業なのかもしれません。でも、ダラダラと与えられた仕事をやっていたわけではありませんでした。むしろやるべきことが多く、21時退社では時間が足りないぐらいでした。

まだ、パソコンもなかった時代です。データ集計も手計算。今思うと見た目と異なり、超アナログ企業でした。今だから白状すると、Windows3.1の頃。1994年ですかね。私は2つ下の後輩の同僚と大宮市駅前のソフマップにパソコンを買いに行きました。表計算ソフトを覚え、自分の営業データを勝手に効率化させました。あれは威力抜群でしたね。営業成績が急激に伸びたのをはっきりと覚えています。


パソコンは先に覚えたもん勝ちの時代でした

私が退職した1998年以降、個人でパソコンを持つことが一般的になり、顧客データを自宅に持ち帰る営業マンが増えたことが問題になり、個人のパソコンを仕事で活用することが禁止になったのだとか(退職後、後輩に聞きました)。私は良いタイミングで辞めたようです(笑)。

とにかく仕事の密度が濃い。仕事中は仕事に関係のない話はできないぐらいに。そんな暇もない。これを息苦しいと感じる人にとってはブラック企業だったかもしれません。

実際、この息苦しさはハンパないです。以前3ヶ月に一人の割合で退職者があったと言いましたが、その原因の本質はここにあると私は感じています。電話件数も時間も外出時には訪問件数も訪問先も数値化して把握されています。営業マンとしてモチベーション高く維持できている時は良い。でも、人間には感情の浮き沈みがあります。気分が乗らない時はとことん沈んでしまいます。嫌々やっている時は結果は出ません。ノリにノッテいる期間をどれだけ増やせるか。売れる営業マンは担当エリアをどんどん増やされて行きますが、そのプレッシャーに打ち勝つことができるかが営業マンとしての勝負になります。それに適応できた人がリーダー、機種責任者と上に上がっていくことになりました。耐えられない人はリーダーになる前に、機種責任者になる前に辞めて行きました。

私にはそうではありませんでしたが、当時の離職率の高さを考えると人によってはブラック企業だったのだと思います。元々「営業」に挑戦したくて選んだ道でしたので、責任者手当がついて以降にもらえる給与の多さはもうビックリするほどでした。

これだけもらっておいて「ブラック企業」って言ったらあかんよなぁっていうのが当時も今も私の感覚です(笑)。

じゃあ、なぜ辞めたのか。元々独立志向があり、実家を継ぐのも含め、自分で商売をやりたかったからというのが一番の理由です。それともう一つ。キーエンスは当時の時点で既に、誰が社員でも、誰が社長でも儲かり続ける仕組みが出来上がった会社だったということ。

私が入社した1990年の売上高は250億円でした。退職した時点、1998年では500億円を超えたぐらいだったと記憶しています。そして今はいくらか。2019年3月決算予想で5268億円です。

しかも、私の在籍したころと同じく利益率50%以上を維持したままで。私が退職したころの10倍、入社した頃の20倍の売上になっています。ちなみに従業員数は5673人(2018.3現在)。私がいた頃は1000人に届かないぐらいでずっと推移していました。

社員数が5倍で売上が10倍ですからそりゃあ、私がいた当時平均年収1千万円と言われていたのが今では2千万になっているのも納得です。ちなみにキーエンスの給与体系は毎月の売上の数%を社員で分ける、という形でした。なので、実質的には毎月ボーナスがあるような形でした。基本給は安いけど、毎月ボーナスがあってものすごい給与になる体系でした。

話が逸れました。誰が社員でも、誰が社長でも儲かり続ける仕組みが出来上がった会社である。キーエンスという会社は社員間では役職ではなく社長であっても「〇〇さん」とさん付けで呼ぶフラットな会社でした。でも、ある意味このフラットさを究極まで突き詰めた会社でもあります。

フラットがゆえにやるべきことがロボットのように明確化され、数字で管理される。自分が自営業から小さいながらも会社をやってみて実感したのはこれってものすごーく難しいことなんです。

誰がやってもうまくいく仕組みの中でやり続けるのはやらせる側もそれを確立させるのが難しいし、させられる側も相当なストレスがかかり、中々続きません。人は”情”に流されて、ロジカルに考え続けられない生き物です。でも、キーエンスはそれを確立させてしまったのです。

あそこまでロジカルにビジネスを遂行させることは私にはできない・・・。

外に出てから見てみるとうらやましい反面、やっぱり8年で辞めて良かったかなという思いもあります。キーエンスはキーエンスの仕組みが絶対的に正しい。それに従うしかありません。自分が面白くなくても、売上を伸ばす結果として絶対的に正しい選択をしているので従うしかないわけです。それに従いたくない、別のやり方をしたい人はいてはいけないと思うんですね。

そういった意味で給与は高いけど息苦しい会社。決してブラックではないけど、耐えるには相当の覚悟が必要。でも私のいた時よりも更に給料は良くなっているので、あんなにもらえるのであれば、耐えるに値する会社かも知れません(笑)。

以上、まだまだお話しできることはたくさんあるのですが、今回はこれぐらいに留めておきます。

お正月の読み物として読み応え、ありましたでしょうか(笑)。

明日は「起業前準備としてのサラリーマン経験」という考え方のお話をします。

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