デービッド・アトキンソン「新・観光立国論」を読んで~日本の観光振興の問題点編

書評・紹介

この本のことはやっぱり書いておいた方がいいかなぁ・・・

続編が7月7日に発売になりますしね。


デービッド・アトキンソン著
「新・観光立国論」です!

 

おはようございます!普段は民宿&ダイビングショップの親父、コムサポートオフィスのアドバイザーもやっているガク(@kasumi_kadoya)です。

いやぁ~面白い本でした。

結論を言うと外国人視点で日本の観光振興の問題点をたくさん指摘しています。

それに対する対策も書かれていますが、問題点の指摘部分が興味深かった。知らなかったこと、知っていたけどバックボーンを理解していなかったこと。

「うんうん」うなずきながら読み進めました。

ここに書いてあることを知った上で「観光立国の正体」読んだら、あの時点でより理解が深まっただろうな、なんて思ったり。

読む順逆だった?!

なんて思ったり・・・

今日は私が興味をひかれた日本の観光振興の問題点を抽出して書き出しておきますね。(それに対する考察は後日)

日本人が”ウリ”だと勘違いしている点

本からの抜粋です。

日本が誇る観光における”ウリ”であり、観光大国である3条件として掲げているのが

・国の知名度

・交通機関の時間の正確さ

・治安の良さ

これらは外国人観光客にとっては「ないよりはあった方が良い程度の強み」だそうです。

特に「治安」と「交通機関」についての誤解の供述が面白かったので紹介しておきます。

列車が正確なのはウリにはならない

列車が1分単位の正確性でやってくる。これぞ、日本の勤勉さ、マジメさを表している、とよく言われます。

確かにビジネスマンにとってはメリットですが、旅行している観光客にとっては大きな問題ではありません。むしろ、旅行客にとって交通機関での印象を決めるのは渋滞や混雑がないことの方が大切。

例えば渋滞。海外の主要都市は渋滞を生じさせないように環状道路整備率がロンドン、北京、ソウルなどは100%、パリも85%です。これに比べて東京の環状道路整備率は未だ47%。

確かに工事も多いし、渋滞も多い。ですよね。

列車も同様に時刻によっては満員列車が多い。

新幹線が国の自慢となる列車であるならば、なぜ成田空港や関西国際空港と都心部を新幹線で結ばないのか。

確かに以前上海に行った時、空港から町の中心部はリニアモーターカーでつながっていました。


上海にて。リニアモーターカーで400km/h以上のスピードを体感!

飛行機が深夜に着いたら公共の交通機関が朝まで動いていない、ということもあります。

更には切符を購入するのにクレジットカードも使えない。電子マネーはそこに住む人にとってのメリットにすぎず、観光客(特に海外)には意味がありません。

今週末宮城県に出張のうちの奥さんもネットでJR切符の予約&購入をしようと思ったら、JR東日本管轄のルート分はネットから購入できず、仕方なく事前に駅の窓口まで買いに行っていました。

時間が正確、というのは”ウリ”にはなりません。

治安の良さもウリにはならない

例えばスペイン。国際観光到着数が2015年度6821千万人。フランスの8445千万人、アメリカの7751万人に次いで世界第3位です。(日本は1973千万人で世界16位)

でも、、、治安は決して良くありませんよね。同じアジア、3千万人が訪れる11位のタイも治安だけで言えば日本より悪いです。

治安のよい国ランキングで1位東京、2位シンガポール、3位大阪と、日本の都市の治安の良さは世界的に評価されていますが、治安はよほど悪くない限り、良すぎることが観光客の増加とは結びつかないのだそうです。

日本の「おもてなし」は押しつけ型

「おもてなし観光立国」という言葉もむちゃくちゃ違和感のある言葉だそうです。そもそも「おもてなし」というのは自国民が自国民に行うから「気配り」になりますが、文化や慣習の違う外国人に行った場合は、自国のやり方の押し付けになってしまいます。

この本を読んでいてハッと思ったのは、日本人は事前に準備しておけるおもてなしは得意だけど、臨機応変に対応するおもてなしは苦手だということ。

その理由も書かれていました。

その場で特別なことを頼んだ場合、日本では「できません」と言われることが多い。我々の宿業界でも「外国人はイレギュラーなことを頼んでくることが多い」というイメージを持っています。

この件について「なるほどー」と思うことが書いてありました。

それは、日本人にとっておもてなしは「無料」奉仕。海外では「有料」が普通。つまり、外国人観光客(特に欧米)は何も「タダで〇〇をしてくれ」と言っているわけではありません。それによって追加料金が発生することを示して対応すればよいのです。

それを「できません」と頭ごなしに行ってしまうのが日本のサービス。「頭がかたい」イメージを持たれてしまっています。

そもそも「おもてなし」はその国それぞれのやり方があり、自分と国のおもてなしが一番というのは違います。

「世界に誇るおもてなし文化」

などと言って”ウリ”にするということは、

「自国の接客が一番ですよ」

という上から目線の宣言にもなってしまうとか。

あと、とても重要なこと。観光客数1位のフランスの接客レベルが高いかというとそうでもないそうです。あ、そういえば私。19年前にフランスに行きましたが、「おもてなしが素晴らしい!」とは確かに思いませんでした。悪いとも思いませんでしたけど。

つまり、大切なのはおもてなしもあればうれしいけど、その国に訪れる一番の理由にはならないということ。

そもそも「おもてなし」は国と国ではなく人と人の間で成立することです。観光戦略として挙げている時点でずれているんですね。

 

以上、今日はこの本を読んで印象的だったお話を紹介しました。

ポイントは

日本人が自慢と考えていることが観光の”ウリ”になっているとは限らないということを認識しておくこと。

このことを明確に認識できたことがこの本を読んでの一番の発見。

うん。まだまだ面白いこと書いてあるんですけどね。

2年前の書籍ですが、刺激的な本です。

 

 

「日本人に『日本はどうですか?』と聞かれたら、褒めなくてはいけない」と海外の日本のガイドブックに書いてあるという話も衝撃的でした。。。

とまあ、ディスられてばかりではありません。著者の日本の観光を盛り上げるための提言も書かれていました。長くなるので続きは明日。

 

 コムサポートオフィス代表
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