日本旅館の集客システムの大いなる誤解〜山田桂一郎先生の講演からの気づき

マーケティング

山田桂一郎先生の講演会は山陰海岸ジオパーク・但馬銀行・鳥取銀行共催が23日午後から。豊岡DMO主催が24日午前中。2回ありました。


23日開催分
山陰海岸ジオパークビジネスフォーラム

がっつり聴講しましたので、その中からの気づきをお話しします。

 

おはようございます!普段は民宿の親父、コムサポートオフィスのアドバイザーもやっているガク(@kasumi_kadoya)です。

23日はビジネスフォーラムでしたので、マーケティングのお話。24日はDMOということで、「稼ぐ」地域にするための組織作りのお話でした。そんな中、私の仕事に直結した話での気づきを紹介します。

業界の常識、私の中での常識をボロボロと(良い意味で)崩していただけたお話を中心にフィードバックします。

日本旅館の集客システムの大いなる誤解

日本のいわゆる旅館は団体客を中心とした一見さんを回していくビジネスモデルでした。地域としての”ウリ”があれば、それをPRすれば集客できた。なので、特定の”ウリ”を宣伝し、広告量(料?)に比例してお客様がたくさんやってきた時代が続きました。

例えば、”かに”という人気素材を武器にして、PRすることで集客する。一昔前なら”海水浴場”や”スキー場”も同様です。

いわゆるプロダクトアウト(作り手・売り手の理論優先)。残念ながらこのビジネスモデルがまだまだ正しいと思っている業界関係者が多い。これからの時代はマーケットイン(顧客視点での商品開発・提供)をしていく時代。これによって一見さんを回すのではなく、リピーターさんを育てていくビジネスモデルへと変更していかなければなりません。

そこまでは、私も理解していました。しかし、山田先生のお話を聞いているうちに私が誤解している点がまだまだ出てきたのです。3つ紹介させていただきます。

「リピーターさんは楽」という誤解

「リピーターさんは気心も知れているので対応が楽」

なんとなくですが、私もそんな風に思っていました。説明の省ける部分もありますし、関係性が深まるほど喜んでくださるポイントもわかってくるからです。

しかし、山田先生曰く

「リピーターさんほど前回よりも満足度を上げないといけないので大変」

となるべきだとのことです。

確かに言わんとしている意味はわからなくもないのですが、毎年3回、10年連続でいらっしゃるお客様に対して、前回を上回るおもてなしをするのは容易ではありません。

前回よりもより良い接客をするにはどうすれば良いか。

そのためにはリピーターさんほど繁忙期ではなく、閑散期にお越しいただくための工夫をすることです。(詳細は後述します)

リピーターさんの料金は値上げしてはいけないという誤解

リピーターさんの料金は安くしてあげることはあっても高くすることはできない。私たちはそう考えてしまいます。仲良くなればなるほど、値上げは難しい・・・。

しかし、先ほどの話にあるように、前回よりも上回るおもてなしを”無料”でやろうとするから難しく感じるわけです。

ただ、ここで注意しないといけないのは、さらに何かサービスを付加して料金を上げようとする発想。カニのプランに更に舟盛をつけて料金を高くする、あるいは舟盛をサービスでつけて前回を上回った、というのではありません。

そのチャンスが閑散期にあります。閑散期は料金を安くしないといけないというのが旅行業界の発想です。そうではなく、閑散期だからこそのよりきめ細やかなおもてなしを付加することで、料金をアップするプランを考えることができるのです。

例えば、私が思いついた方法。閑散期に一緒に競りを見に行き、そこで仕入れた魚介類を提供するプラン。まちあるきガイドなどもセットにしてもOK。それを私自身がやることで、オーナーと仲良くなることができるという、リピーターさんならではの楽しさを提供する。

 

閑散期の売り方に対する誤解

宿の場合、「閑散期は安くしないと売れない」って思っていませんか?私もそう思っていました。安くするのは薄利多売という言葉もあるように、安くした分、たくさん売れなければなりません。しかし、閑散期ですから現実は薄利少売になってしまうことがほとんど。安くしても売れないから閑散期なのです。だからと言って、半額クーポンサイトなどに出してしまうのは通常価格でお越しいただいているリピーターさんに対して失礼です。

閑散期ほど「高利少売」を考える。「高額」ではなく「高利」です。つまり、高い商品を付け加えて料金を高くするのではなく、手間暇をかけて料金を高くする、という考え方です。

そうすると、新規のお客様がなかなか高価格帯のプランに飛びついてはくれません。だからこそ、リピーターさんなのです。既に気に入ってくださっている方に対して閑散期を利用してより深いおもてなしを提供する。

このアイデアが出せない人ほど安易に安売りに走ってしまうのです。

おなじみさんを獲得し、つながりの経済を構築すること

これからのビジネスでやっていかなければならないこと。

山田先生曰く

CLTVを獲得するためにCRMを構築していく

ことだそうです。


それってどういう意味なのーーーー

というわけで、改めて調べてみました。

CLTVって何?

Customer Life Time Value(顧客生涯価値)。
一人の顧客が生涯を通じて会社にもたらしてくれる利益。言い換えると”何度も買ってくださる=リピーターさん、おなじみさん”のこと。

CRMって何?

Customer Relationship Management(カスタマーリレーションシップマネージメント)。
商品の購入履歴だけでなく、意見、要望のやりとり等の接点を全て管理し、つながりを維持することで、長期的な収益を上げようとすること。

一瞬難しい。でもこれってよくよく考えてみると

おなじみさんを大切にし、常にコンタクトをとることで忘れられない存在になること。つまり、お客様との関係性を重視することです。

それを個々の事業者だけでなく、地域全体でやっていく。お互いが足の引っ張り合いをしない、ポジショニングをしっかりとって。「差別化ではなく独自化」。セグメンテーション・ポジショニング・ターゲティングのマーケティング手法です。

頭の中を整理していくに従ってどんどん繋がっていきます♪

この学びを商売だけでなく、地域にも還元できたら・・・

そんなことを感じた2日間でした。


山田桂一郎先生、ありがとうございました!

 

コムサポートオフィス代表
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