5%還元終了後のクレジットカードの事業者手数料について考えておくべきこと

キャッシュレス

2月に入ってから私の宿、キャッシュレス決済率がなんと82%です。10月から1月まで通すと70%ぐらい。5%還元前はキャッシュレスと現金の比率が5:5ぐらいだったのが7:3ぐらいになっています。

7月以降、これがどうなるか。

お客様にとっては5%還元されるメリットがありますが、事業者側にとっては3%台の決済手数料を2%台にまで落としてくれるメリットがあります。ただ、このメリットも6月末まで。この後がどうなるか気になるところです。


そろそろ5%還元終了後のことも

おはようございます!普段は民宿の経営者兼看板親父♪
コムサポートオフィス副代表のガク(@kasumi_kadoya)です!

そろそろ、5%還元終了後のことも考えておくべき時期に来ました。と同時に、キャッシュレスの仕組みが日本でどうなっていくかの予想も立てておかなければなりません。その時になって大騒ぎしても遅いのですから。

日本では事業者が負担するクレジットカード手数料は高い

まず、前提条件として知っておいて欲しいことがあります。日本はクレジットカードに対する事業者側の手数料が高い。少し前までは5%前後が普通でした。最近スマートフォンやタブレットに連動したクレジットカード端末が登場し、どんな業界でも3〜4%ぐらいの手数料で対応してもらえるようになりました。ちなみに宿泊施設でJTBの協定宿や全旅連加盟宿ならばVISAとMASTERに限り2%台です。(なので、宿泊した際はなるべくVISAかMASTERでカード払いしてあげるとお宿さんは喜ぶケースが多いです)

ちなみに海外のクレジットカード手数料はどれぐらいか。以下のサイトに詳しく掲載されています。

https://zenchan.work/column/cashless/

上記サイトより一般的な小売店ベースでの平均手数料は以下の通り。

  日本 アメリカ 中国 韓国 イギリス オーストラリア ニュージーランド
決済手数料 3.5~5% 1.51% 0.45% 2.00% 0.30% 0.23% 2.00%

いかがでしょう。日本が抜きん出て高い。それに対し、日本の中小企業の経常利益率ってどれぐらいでしょうか。

第6章 中小企業の稼ぐ力を決定づける経営力

全産業でみると、中小企業の売上高経常利益率の平均値は3.48%である一方、大企業の平均値は4.34%である。 

働いても働いても銀行の借入金と仕入れに支払いをするとお金が残らない。そんな風に感じている事業者の方は多いと思います。実際、経常利益が消費税以下、下手するとカード手数料と同じかそれ以下しかないのです。これではカード決済を導入するのをためらう事業者さんが多くても無理ありません。

日本は店舗に現金を置いていても比較的安全であることもあり、現金を歓迎する事業者も多い。キャッシュレスによる手数料を盗難保険や帳簿管理の工数削減と考えるとしても、やはり高い手数料は大きな負担となってしまいます。

6月以降カード決済手数料はどうなる?

実は業界では2つの意見があります。5%還元終了後、クレジットカードの手数料が下がるという説と上がるという説。どちらも一理あるのですが、皆さんはどうなると思いますか?

手数料が下がる説

キャッシュレス決済の浸透と同時に登場したのがQR決済。スマホ決済とも呼ばれるものです。PayPayやLINE PAY、最近ではAu PayやDポイントなどもあります。


一人勝ちとも言われているPayPay
2021年夏まで手数料無料

端末を必要としないので手軽に導入でき、ランニングコストもかかりません。2021年の夏まで手数料無料としているQR決済も多く、有料になっても1%前後ではないかとも予想されていました。手数料の低い決済手段に引っ張られて、クレジットカードの手数料も下がるのではないか。2%を切ってくれたら嬉しいな、なんて当初は考えていました。

ただ、非常に気になる点が3つ。1つめは楽天PAYが頑なにQRコード決済の手数料ではなく、クレジットカードや電子マネーの決済手数料に合わせていること。2つめはQRコード決済会社各社がシェア合戦のための多額の先行投資(○◯億円あげちゃうキャンペーン)を頻繁に行っていること。当然ながら後から回収できる見込みがあるからこその行為でしょう。

シェアを取ってから手数料を上げるのは民間企業ならば当たり前の戦略です。そう考えると、2021年秋以降のQRコード決済の手数料が本当に1%程度で済むとは思えず、クレジットカード並みの手数料に上がるのではないかという不安があります。

3つめはヤフーとLINEの経営統合による脅威。PayPayとLine Payという2大QR決済が合併してしまうと、かなりのシェアを取ってしまいます。シェアが大きければ、手数料を言い値でコントロールできてしまいます。

あ、下がる説を展開する予定が最後は上がる説を書いてしまっている・・・。

手数料が上がる説

手数料が上がるのではないかという説について。そもそも日本のクレジットカードの手数料が高いのは、コストのかかるシステムを使っているから。実は今の手数料でも厳しい。5%還元終了後はキャッシュレスが広がった、利用できる小売店が増えたのを契機に手数料の値上げをしてくるのではないかという意見も耳にします。これも現実的にはあり得ます。先にお話ししたように、後から回収できるからこそ、普及に対して莫大なお金をかけたキャンペーンを展開しているのです。

小売店側として腹立たしいことではあります。国の政策でキャッシュレス化を進めておきながらキャンペーンが終わると同時に値上げ。カード会社を儲けさせるために国の補助金を使ったとなると、これは許されることではありません。

もしも手数料が上がるとなった場合、小売店は受けざる得ません(カード決済をやめるという選択肢はあります)。ただ、5%還元終了と同時に値上げとなると「優越的な立場を利用し不当な要求を行った独占禁止法違反」に該当するのではないか、しかもそれを国がサポートしたということになるのではないかと憤りを感じます。

小売店側として考えておきたいこと

もしもカード決済手数料が上がったらどうすれば良いか。このことは頭の隅に置いておき、今から対策を考えておかなければなりません。個人的には全てをキャッシュレス化させてしまうのもありかな、と思っています。手数料支払いありきでの価格設定にし、現金決済を受けないことによって不公平感をなくす。こちらも「現金で支払ってもらった方がお得」という意識がなければ業務省力化にもなります。

でも、例えばカード手数料が5%近くにまでなってしまったらどうするか。消費税が10%にカード手数料が5%。もはや企業努力でその分安くする、なんてレベルでないことは明白です。

私が今後要望したいこと

私が要望したいことは、現在カード会社と行なっている「クレジットカードの手数料を販売価格に上乗せしてはいけない」という契約を破棄した上での再契約にして欲しいということです。

例えば、堂々とクレジットカードでの支払いは5%増を行なっても良いとして欲しいのです。いえ、この言い方だとネガティブですね。現金支払いの場合は5%引きでも良いでしょう。

クレジットカードの手数料を販売価格に上乗せしてはいけないというのはカード会社と小売店との契約書内での取り決めであって、法律的なものではありません。実際ガソリンスタンドなどではカード支払いだとリッターに付き1、2円UPのお店が多いです。ガソリンは1リッターにつき53.8円が税金ですので、全額に対して決済手数料取られていたらたまったものではないですよね。逆を言えば、こういった契約、あるいは販売をしている業界もあるということです。積極的にカード導入を進める代わりにカード手数料分値引きした分を「現金特価」として販売することを契約違反としないで欲しい。

私は6月以降もカード決済を継続することありきで考えています。ただ、手数料が上がってもその分を事業者が全て負担するようなことはあってはならないと思っています。5%還元も折り返し地点をに到達、あと4ヶ月ちょっとで終了します。その後どうしていくか。最悪のシナリオも考えた上でそろそろ対応策を考えなければならない時期に入りました。

最悪のシナリオとは何か。QR決済、更にはクレジットカード手数料の値上げです。

QRコード決済がクレジットカード並みの3%台の手数料となってしまう。それに乗じてクレジットカードの手数料はまた5%前後にまで上がる。

寝耳に水ではなく今からそんな最悪のケースも想定しておくべきと私は考えています。

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コムサポートブログを書いている人
コムサポートオフィス 今井ひろこ/今井学

私たち夫婦は、兵庫県の日本海側・豊岡市を本拠地に、全国の小さなお宿やお店の集客問題の解決に取り組んでいるコンサルティング事務所「コムサポートオフィス」を運営しています。私たちが実践して培ったノウハウや日々の実践例を、この公式ブログでお伝えしています。なお、ブログネタは宿泊施設の集客などに限らず、一般の事業者向けのものも多いです。

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