指定管理物件の民間譲渡に至った経緯とは? 木下斉さんの狂犬ゼミナールin豊岡・温楽ノ森|セミナー備忘録

木下斉先生とともに 地域活性化

7/4(土)午後に開催された狂犬ゼミナールin豊岡 。著書「地方創生大全」などで有名な木下斉さんの主催で、今回は現地入りされるとのこと。今まで生木下斉さんにお目にかかったことが無かったのでセミナーに参加してきました。(大きな声では言えませんが、著書を全部読んでいる主人も宿の仕事を抜けて参加しました。)

今回は、指定管理の温泉施設が民間譲渡され、7/3にリニューアルオープンした温泉グランピング施設「温楽ノ森」の代表・(株)キリンジの天川洋介代表と、それをサポートした豊岡市職員さんとのコラボセミナー。全国からのリモート参加だけでなく、各地から志高い議員さんや自治体職員さんも参加されていました。また地元では、Twitterで繋がっている(株)ローカルフラッグのアントレプレナー濱田さん・梅田さんモバイル屋台de健康カフェを主宰されている守本ドクターも参加されていて、若い人の姿が多い印象でした。私も歳を取ったと思いつつ、良い刺激を頂きました。

セミナーメモをTwitterで流していましたので、それを備忘録としてまとめます。

民間譲渡される前の「出石温泉館 乙女の湯」とは

実は私も結婚・移住して12年になりますが、それまで行ったことが無く…ですが、ヌルヌルすべすべ炭酸水素塩泉ですし、お湯がとても良いとの評判だったようです。

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ちなみに但馬(兵庫県北部地方)は旧市町村単位に温浴施設があり、それぞれの施設が行政からの指定管理となっています。この施設も旧出石町時代の2005年3月に建設され、指定管理者制度で管理・運営が行われていましたが、近年は利用者が低迷。昨年2019年6月に「出石温泉館乙女の湯」の指定管理者が辞退したことから閉館となりました。

ところで、近くの観光地・出石は城下町。どちらかというと、城崎温泉や香住へ宿泊した翌昼に立ち寄るところで、平均滞在時間2時間。15時には観光客がいなくなります。宿泊施設も大きなホテルが1軒ありますが、インバウンドや団体客がアウトになっている今は休館しています。それ以外の旅館民宿は殆どありません。

豊岡市の指定管理「乙女の湯」の民間譲渡への流れ

持ち主の豊岡市は当初は、今までとは異なる指定管理先を探していたようなのですが、指定管理だと甘えが出るし、何をするにも決定に時間がかかるため、指定管理にせず、民間譲渡に踏み切りました。壊すにも解体費が相当必要で、応札が無い場合は解体を覚悟していたそうです。

豊岡市公式ウェブサイト - 指定されたページ、またはファイルは見つかりませんでした。
豊岡市公式ウェブサイト

その時の神戸新聞の記事を見て翌朝電話したのが、今回譲渡された(株)キリンジの天川代表でしいた。

豊岡市のほうには、全国各地から地元企業まで問い合わせがあったようですが、実際に応札したのは(株)キリンジさんだけだったとか。

ちなみに、建物は無償譲渡で改修費は3000万円(1/2補助)の補助が出ましたが、土地は10年無償賃貸なので固定資産税はかかります。10年は温浴施設を経営することは条件です。グランピング場所は市有地で有償賃貸になるとのことですが、固定資産税を含めてもそんなに高くないとのことでした。

条件設計するときには、全国自治体で温浴施設再生の応札があった事例、無かった事例の理由を探り、時にはその自治体に問い合わせてmどのような条件であれば民間が応じるかどのようなスキームで譲渡するかまで聞いたとのことでした。(自治体が自治体に聞くときは皆さん新設に答えて下さるそうです)

そのスピード感といえば、公募したのが2019年7月、そこから今回のオープンが2020年7月ですので、どれだけ早いんですか!

当初は3月末OPENでしたが、コロナの影響で資材が入ってこなかったのと緊急事態宣言が出た個とで大幅に遅れ、7月にずれ込んだということでした。当初の3月OPENだったらと思ったら、それも超高速での決断です。

温楽ノ森 出石 豊岡市

なぜ(株)キリンジ・天川代表は乙女の湯に目を付けたのか

ひと言でいうとグランピング施設が運営できるところを探していて、神戸新聞に出ていた乙女の湯の民間譲渡の記事をたまたま見つけたとのことでした。

元々、大阪しないで飲食店(バー)を経営していたそうですが、2014年から民泊事業に乗り出し、数年後、大阪で特区民泊制度もスタートしたことから合法民泊の運営代行と賃貸運営の会社・(株)キリンジを立ち上げ。しかし、2018年の台風21号で関空が一ヶ月使えずインバウンドが来なくなった事に加え、来阪の多かった韓国人観光客が2019年に激減するなど地政学的なことも災いしました。

そのために、地域全体を一つの宿に見立てる「分散型ホテル」Nipponiaを地方で展開する(株)ノオトさんと組み、地方への展開を図るように。現在は大阪、奈良、淡路島、和歌山などで展開。和歌山は高野山下の駅舎ホテルが有名ですね。フロントはないけど、何かあったら近所の方が駆けつける、今まで数多く手掛けられた合法民泊のスキームで経営されてます。

キリンジ 天川代表

「地域に目を付けるのか、建物に目を付けるのか?」という質問には、「建物物件を基準にして、自分がワクワクする建物で事業していきたい。ワクワクしないと熱量が出ないからね」と仰っていたのが印象的でした。

グランピング施設を見学♪ 

グランピングって聞いたことあるけど、どういうものかをご存じ無い方も多いかと思います。

グランピングとは、英語で“魅力的な、華やかな”などを意味する「Glamorous(グラマラス)」と「Camping(キャンピング)」を組み合わせた言葉で、直訳すれば“魅力的なキャンプ”という意味になります。(LINEトラベル「グランピングって何?キャンプとの違いは?今さら聞けない基礎知識」より

テントが今は24張りだったかな、将来的には40弱まで増やすとのこと。一般的な宿泊施設であれば建築確認などが必要でハードルが高いそうなのですが、テントであれば不要だそうです。

中を見せて頂いた主人によると、この「温楽ノ森」はダブルベッドが2つ設置されていて、エアコンも完備とか。一部はウッドデッキの上に設置され、その前にはバーベキューセットと机、椅子が整備され、6月にはホタルも舞うとか。

温楽ノ森 グランピング施設 豊岡市出石町

そのキャンプ場に温浴施設が併設されていたら、キャンプ場での心配・お風呂も気にすること無いし、手ぶらで来れますよね。ちなみにトイレは洋式が男女別、そして車いす専用のトイレもスロープ付きで新設されています。

グランピングの経営については、食事が付いていない(オプション)でもあるし、利用が集中する期間は決まっているので、ダイナミックプライシング設定をしやすいし、お客様にも理解してもらいやすいですよね。

特になるほどと感じたのは、お客様が来ない雪の時期(1-2月)にはテントを閉じて、従業員を出石地区の別の系列古民家ホテルに回すなどして、上手く人員を活用するとのこと。これは星野リゾートでもよく聞く話。

特に今回は単独事業としてはペイしない温浴施設にプラスしてグランピング施設を併設するだけでなく、宿泊施設の少ない出石エリアに2軒の古民家ホテルを開業するとのことで、エリアで収益化を図る仕組みがこの短時間で進んでいることに何よりも驚かされました。

全国の指定管理問題…合併前のハコモノをどうする?

公共施設の指定管理問題がこの日はテーマでした。旧市町それぞれホール、温泉、グラウンド、文化ホールも地方にはありますので、いつまでも赤字垂れ流しで残すかどうか。合理的な集約をどうするかは、全国的な悩みのようですが、次の時代に合うように集約しなければ、次の世代に負担がのしかかってきます。

今回、豊岡市でも「民間への譲渡ではなく、指定管理のほうがいいのではないか?」「地元の人でない民間に譲渡するなんて」という声は、地元だけでなく自治体セクションでもあったようです。が、しかし、今まで指定管理で委託していて利用低迷していたのに、またそれを繰り返すのであれば、「もう民間に譲渡しかないでしょう!」と担当職員も中貝市長も聞きはしますが横に置いたようです。

「自治体職員はビジネスマンではありませんので、温浴施設が経営出来るかといえば経営できません。そこはプロに任せることにしただけです」

と担当職員の方は仰っていましたが、そのふんぎりが付かないと、自治体職員が出向してイチから畑違いの経営を学ばなければなりません。ひいては市の利益、地元の利益に結びつきません。

このハコモノ指定管理問題。コロナにより地方・国に納められた税金が補助金や助成金でどんどん目減りし、さらに生産年齢人口も減っていて税収増が臨めない中、維持費の捻出に頭を悩ます自治体はこれからももっと増えてくることでしょう。

私の地元・香美町にも指定管理されたハコモノがたくさんあり、すべての施設で利用者も増え、利益をきちんとあげて採算がとれているのかといえば、ギリギリでやっているところのほうが多いような印象です。

税金の使われ方にも影響する、今回のハコモノ指定管理問題。平成の合併後の施設運用

今回の豊岡市&キリンジさんのプロジェクト、成功するか注目していきたいし、もちろん応援していきたいと思います。次行く時は必ずお風呂に入ろうと思いますし(今回、お風呂道具を持っていく事を完全に失念してた)、初グランピングを楽しみたいと思います。

木下斉先生とともに

(サインして頂いた著書と木下先生と共に)

企画して頂いた天川さんと木下斉先生に感謝申し上げます。ありがとうございました。

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コムサポートブログを書いている人
コムサポートオフィス 今井ひろこ/今井学

私たち夫婦は、兵庫県の日本海側・豊岡市を本拠地に、全国の小さなお宿やお店の集客問題の解決に取り組んでいるコンサルティング事務所「コムサポートオフィス」を運営しています。私たちが実践して培ったノウハウや日々の実践例を、この公式ブログでお伝えしています。なお、ブログネタは宿泊施設の集客などに限らず、一般の事業者向けのものも多いです。

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